この記事を書いた人
はり師・きゅう師(国家資格) 整骨院勤務15年の現役鍼灸師パパ。 肩こり・腰痛・産後ケアを専門に、のべ数千名を施術。 現在は0歳の息子を育てながら、リアルな育児体験をもとに情報発信中。
この記事について: 整骨院で15年間、産後や育児中のパパ・ママの肩こりを月に何十例も診てきた経験をもとに書いています。特に抱っこによる肩こりは非常に多く、実際に患者さんへお伝えしてきたツボを厳選しました。自身も育児パパとして抱っこ育児の肩こりを経験しており、「使えるもの」だけを紹介しています。
生後3ヶ月になったころ、息子の体重が6キロを超えました。
抱っこしようとして気づきました。手が上がらない。
正確には「上がるけど、肩に電気が走るように痛い」。腕を水平より上に持ち上げる動作がまともにできなくなっていました。
整骨院で肩の痛みを診てきた自分が、育児で肩をやられた。
「抱っこって、こんなにきつかったのか」と初めて身をもって知りました。
この記事では、そんな経験をした鍼灸師パパが、肩まわりがつらいときに試しやすいツボ3つと、抱っこ姿勢の見直し方を紹介します。道具不要で、すきま時間にできます。

赤ちゃんのお世話では、こんな姿勢が毎日続きます。
これらが重なると、首から肩にかけての筋肉が慢性的に緊張してしまいます。特に生後3〜6ヶ月は赤ちゃんの体重が急激に増える時期。私自身、1歳未満の息子を毎日抱っこしながら「これは整骨院で患者さんに診てきた肩こりと同じだ」と実感しました。パパの肩こりが一気に悪化するのは、まさにこの時期です。
整骨院でよく見るパターンがあります。パパが「高い高い」をしようと子どもを持ち上げた瞬間、肩を痛めて来院される。「じゃあ奥さんに任せよう」となったら、今度は抱っこ続きで奥さんが腰痛で来院される。
笑い話のようですが、本当によくある話です。どちらか一人に負担が集中すれば、その人の体がつらくなり、もう一人の負担も増えます。「高い高い」は無理に繰り返さず、痛みがある日は控えましょう。
ツボ押しの前に、まず抱っこ姿勢を意識するだけでも肩こりの悪化をかなり防げます。
ポイント1:赤ちゃんを体に密着させる 赤ちゃんを体から離して支えようとするほど、肩や腕に余計な力がかかります。できるだけ自分の体に引き寄せて密着させると、腕への負担がぐっと減ります。「赤ちゃんを自分の体の一部にする」イメージで抱っこしてみてください。
ポイント2:肘を脇に近づける 両肘が体から離れるほど、肩の筋肉が緊張します。抱っこするとき、肘をできるだけ脇腹に近づけるように意識してみてください。腕の疲れ方がかなり変わります。
ポイント3:自分が背筋を伸ばす 前かがみになるほど、首・肩・腰すべてに負担がかかります。鏡や窓に映る自分の姿勢をときどき確認してみましょう。

ツボを押すときには、いくつかコツがあります。
→ 詳しくはこちら:肩こりに効くツボの場所と正しい押し方

場所: 手の甲側、親指と人差し指の骨が交わるくぼみのあたり。親指と人差し指をくっつけると盛り上がる山の頂点あたりです
東洋医学での使われ方: 首・肩や頭まわりの不調を考えるときによく選ばれるツボです
押し方のコツ:
回数の目安 左右それぞれ3回ほどから試し、痛みが残るほど押さないようにします。感じ方には個人差があります。私自身は、朝の抱っこ前と夜に無理のない範囲で押す習慣を続けました。
合谷は「万能のツボ」とも呼ばれ、赤ちゃんを抱っこ中でも片手で押せるのが嬉しいポイント。電車の中や信号待ちでもできるので、隙間時間に押す習慣をつけてみてください。
場所: 首の付け根と肩先の中間あたり。「肩を揉むときに親指が自然に当たる場所」です。自分で触れてみると、コリっとした固い感じがある方も多いです
東洋医学での使われ方: 肩まわりのこわばりが気になるときによく選ばれるツボです
押し方のコツ:
回数の目安 3回ほどから試し、強い痛みやしびれが出たら中止します。押した後の感じ方には個人差があります。
「肩井」は名前の通り、肩こりに効くツボです。赤ちゃんが寝たあとのほっとした時間に押してみてください。
場所: 首の後ろ、頭の付け根あたり。首の真ん中のくぼみ(後頭部の少し下)から、左右に指2本分外のところ。髪の生え際あたりに2つ並んでいます
東洋医学での使われ方: 首の後ろのこわばりや、目を使ったあとの重だるさが気になるときによく選ばれます
押し方のコツ:
回数の目安 まず1〜3回、痛くない強さで試します。首はデリケートなため、ぐいぐい押し込まないでください。
「天柱」は特に、首の後ろ側のこりに効きます。スマホや深夜の育児で首が疲れたときにも有効なツボです。
私が3つの中で一番効果を実感したのが天柱です。手が上がらなくなっていたあの時期、寝る前に仰向けで天柱を押すのを習慣にしました。後頭部の付け根を自重で押すだけなので、疲れ果てた夜でも続けられました。
肩井については、自分では押しにくいツボなので同僚の鍼灸師に施術してもらいました。「プロでも自分では届きにくい場所がある」。これが正直なところです。パートナーに頼む場合も、強く押してもらう必要はありません。

ツボ押しは気軽にできますが、根本的な改善には生活習慣の見直しも大切です。
慢性的なこわばりは、温めると楽に感じることがあります。電子レンジで温めたタオルは、やけどしない温度か確認してから肩・首に当てます。転倒や打撲直後で腫れや熱感がある場合は、自己判断で温めないでください。
就寝時の枕が合っていないと、翌朝も首・肩のこりが抜けません。せっかくツボ押しをしても、夜中に首が変な角度になっていたらリセットされてしまいます。自分に合った枕選びも肩こり改善の大切な一歩です。
→ 詳しくはこちら:枕の選び方
抱っこで固まった肩を、少し動かすだけでも違います。赤ちゃんが機嫌よく遊んでいる間に、肩をぐるぐる回したり、胸を開くように両腕を後ろに引いたりするだけでOK。1〜2分でも体を動かす習慣が、慢性的な肩こりの予防につながります。

妊娠中は体調や妊娠経過に個人差があります。合谷・肩井を含め、自己判断で強く刺激せず、先に産科の医師・助産師へ相談してください。
合谷(ごうこく)は抱っこしながらでも押せます。 片手で赤ちゃんを支えながら、もう一方の手の合谷を膝や太ももに当てて軽く押すだけでOKです。肩井・天柱は両手が必要なため、赤ちゃんを下ろして安全な場所に寝かせてから行ってください。
ツボ押しですべての肩の痛みに対応できるわけではありません。痛みが強い、腕が上がらない、しびれや力の入りにくさがある、胸痛・息苦しさ・発熱を伴う、転倒後に痛む場合は、ツボ押しを続けず医療機関へ相談してください。軽い症状でも長引く場合は整形外科などで原因を確認しましょう。

今日ご紹介した3つのツボをおさらいします。
| ツボ名 | 場所 | 主な効果 |
|---|---|---|
| 合谷(ごうこく) | 手の親指・人差し指の間 | 上半身の緊張をほぐす・抱っこ中でも押せる |
| 肩井(けんせい) | 首の付け根と肩先の中間 | 肩こりに直接効く・頭痛にも |
| 天柱(てんちゅう) | 首後ろの頭の付け根 | 首こり・頭痛・目の疲れにも |
今日からできるアクション:
生後3ヶ月、体重6キロの息子を抱えて手が上がらなくなった時期、私は天柱を無理のない範囲で押し、同僚の鍼灸師にも相談しました。セルフケアだけで抱え込まず、人に頼ることも必要だと実感しました。
ツボだけでなく、温熱用品やサポートグッズも含めて選びたい方は、肩こり対策グッズの選び方も参考にしてください。
整骨院では「高い高い」で肩を痛めた後、奥さんの抱っこが増えて腰までつらくなる、という連鎖も見てきました。どちらかに負担が偏ると、もう一人の負担も増えやすくなります。
まずツボを押しながら自分の体を守ること。それが結局、育児を長く続けるための一番の近道です。