この記事を書いた人
はり師・きゅう師(国家資格) 整骨院勤務15年の現役鍼灸師パパ。 肩こり・腰痛・産後ケアを専門に、のべ数千名を施術。 現在は0歳の息子を育てながら、リアルな育児体験をもとに情報発信中。
台風が近づくと、頭が重い。体もだるい。なのに赤ちゃんもいつもよりぐずる。
9月は台風が増えやすい時期です。天気予報で「台風接近」「気圧が大きく下がります」と聞くと、少し身構えるパパ・ママもいると思います。
僕自身、台風や天気が崩れる前の頭痛にはずっと悩まされてきました。鍼灸師になる前、子どもの頃からです。
「なんで雨の前だけ頭が痛いんだろう」
昔は理由がわからず、ただ家でぐったりしていました。台風の日は外にも出られないので、家族で家にこもってダウンしていた記憶があります。
そして今、育児をするようになってからもう一つ感じるようになりました。
天気が崩れる夜は、息子の夜泣きが多い気がする。
もちろん、赤ちゃんの夜泣きには空腹・暑さ寒さ・成長・歯ぐずりなど、いろいろな理由があります。天気だけで説明できるものではありません。
それでも、台風前の夜に「今日は親も子もなんかしんどいな」と感じる家庭は少なくないはずです。
この記事では、台風シーズンの気象病を、鍼灸師パパの目線でやさしく解説します。大人の頭痛・だるさだけでなく、赤ちゃんが天気で不調そうに見えるときの過ごし方まで、家族目線でまとめます。
なお、大人の低気圧頭痛を詳しく知りたい方は、こちらの記事で梅雨時期の頭痛を深く解説しています。
この記事はそこから少し役割を分けて、9月の台風シーズンと、赤ちゃん・家族の過ごし方に絞って書きます。
台風が近づくと、次のような不調を感じる方がいます。
こうした天気の変化に関係する不調は、一般的に「気象病」と呼ばれることがあります。
ポイントは、台風のときは単なる雨の日よりも変化が大きいことです。
台風が近づくと、気圧が下がり、湿度が上がり、風が強くなり、気温も乱れやすくなります。体からすると、外の環境が一気に変わるわけです。
大人でもしんどいのですから、体の調整機能がまだ発達途中の赤ちゃんが落ち着かなくなるのも、不思議ではありません。
ただし、ここで大事なのは「天気のせいだから仕方ない」と決めつけないことです。
天気はきっかけの一つ。そこに睡眠不足、育児疲れ、首肩こり、冷え、室内環境の不快さが重なると、体調が崩れやすくなります。
つまり、台風そのものは止められませんが、家の中でできる対策はあります。
気象病の話でよく出てくるのが「気圧」と「自律神経」です。
専門的に言うと少し難しくなりますが、育児中のパパ・ママ向けに言えば、体には外の変化に合わせてバランスを取る仕組みがあります。
暑ければ汗を出す。寒ければ体を縮こませる。眠る時間になればリラックスモードに入る。
この調整をしている大きな仕組みが、自律神経です。
台風が近づいて気圧が下がると、耳の奥にある「内耳」という場所がその変化を感じ取ります。内耳は、体のバランス感覚にも関係している場所です。
気圧の変化を敏感に感じ取る人ほど、自律神経が揺さぶられやすいと言われています。
自律神経が乱れると、血管の広がり方、筋肉の緊張、眠気、だるさ、胃腸の動きなどに影響が出ます。その結果として、頭痛・首肩こり・だるさ・めまいっぽさにつながることがあります。
僕の場合は、子どもの頃から天気が崩れる前に頭痛が出やすいタイプでした。鍼灸師になってから「内耳」「自律神経」「首肩の緊張」という言葉で説明できるようになりましたが、子どもの頃はただつらいだけでした。
大人になってからも、台風前は首の後ろが重くなり、頭がぼんやりする日があります。育児中だと、そこに抱っこ・寝不足・家にこもるストレスが乗ります。
台風の日に家族で家にこもって、みんなでどんよりしている。あの空気感は、体にも心にもこたえます。
「赤ちゃんも低気圧でしんどくなるんですか?」
これは、育児中の方から聞かれることがあります。
結論から言うと、赤ちゃんのぐずりや夜泣きをすべて天気のせいにすることはできません。ただ、天気の変化が不快感や眠りの浅さに影響する可能性はあります。
赤ちゃんはまだ、自律神経も体温調節も発達途中です。
台風前後は、湿度が高くなったり、蒸し暑いのにエアコンで冷えたり、外に出られず日中の刺激が減ったりします。大人が思う以上に、赤ちゃんにとっては「なんか落ち着かない日」になりやすい。
うちでも、天気が崩れる夜は息子の夜泣きが多いと感じることがあります。
もちろん毎回ではありません。月齢による変化もありますし、たまたま眠りが浅い日もあります。だから「台風だから夜泣きする」と断定はしません。
でも、親の体調が悪く、家の中もジメジメして、外に出られない。赤ちゃんも親の雰囲気を感じ取って、いつもより甘えたり、泣いたりする。
これは育児をしていると、かなり現実的な話だと思います。
夜泣きそのものを東洋医学の視点で見たい方は、こちらも参考になります。
整骨院で患者さんを見ていると、天気が悪い日は共通した体の反応があります。
首の後ろが硬い。肩が上がっている。背中が丸い。呼吸が浅い。足元が冷えている。
本人は「頭が痛い」と言って来られるのですが、体を見ていくと頭だけの問題ではないことが多いです。
特に台風の日は、家にこもりがちです。
赤ちゃんを抱っこして、スマホで台風情報を見る。洗濯物は乾かない。外遊びも散歩もできない。家の中でずっと同じ姿勢になる。
これだけでも首肩は固まり、自律神経は乱れやすくなります。
頭痛があるときに、首の後ろを少し温めたり、耳を回したり、深呼吸をしたりすると楽になることがあります。これは「気圧を変えている」のではなく、体側の緊張をゆるめて、変化に耐えやすい状態を作っているイメージです。
鍼灸でも、気象病っぽい不調の方には、首肩まわりだけでなく、手首・足首・お腹・背中なども見ます。体全体の巡りを整えるほうが、結果的に頭の重さが軽くなることがあるからです。
家庭でのセルフケアも同じです。
頭だけをなんとかしようとするより、耳・首・肩・呼吸・足元をまとめて整えるほうが現実的です。
今回の東洋医学テーマは、**水滞(すいたい)**です。
水滞とは、体の中の水の巡りが滞って、余分な水分がうまく動かない状態を指します。
「水」と言っても、飲んだ水だけではありません。体の潤い、むくみ、湿気っぽさ、重だるさなどを含めたイメージです。
台風シーズンは湿度が高く、雨も続きやすい。外の空気が重いと、体もなんとなく重く感じます。
東洋医学では、外の湿気が体に影響し、体内の水の巡りが悪くなると考えます。すると、次のようなサインが出やすくなります。
育児中だと、ここに寝不足と抱っこ疲れが重なります。
水滞タイプの台風不調で大切なのは、「水を抜けばいい」と単純に考えないことです。水分を極端に減らすのはよくありません。授乳中のママや汗をかく季節は、脱水も頭痛の原因になります。
大事なのは、体を冷やしすぎず、胃腸に負担をかけず、軽く動いて巡りを作ること。
生活に落とすなら、こんな感じです。
東洋医学の「気・血・水」の基本は、こちらの記事でもやさしくまとめています。
台風の日に長いセルフケアは続きません。
赤ちゃんが泣いている。家事もある。自分もだるい。そんな日に「30分ストレッチしましょう」は現実的ではないです。
なので、まずは3分で十分です。
耳を軽くつまんで、上・横・下にやさしく引っぱります。そのあと、耳全体をゆっくり回します。
強く引っぱる必要はありません。痛みが出ない範囲で、じんわり温かくなるくらいでOKです。
耳まわりは内耳や自律神経の話とつながりやすい場所です。台風前に頭が重いとき、まず耳をゆるめると、首の力も抜けやすくなります。
肩をすくめて、ストンと落とす。これを5回。
次に、首を右に倒して10秒、左に倒して10秒。最後にあごを軽く引いて、首の後ろを伸ばします。
ポイントは、勢いをつけないことです。頭痛がある日にグイグイ動かすと、かえってしんどくなることがあります。
鼻から3〜4秒吸って、口から6〜8秒かけて吐きます。
吸うことより、吐くことを長めにするのがコツです。抱っこで胸が縮こまっていると、呼吸が浅くなります。呼吸が浅いと、首肩もこりやすくなります。
「台風で外に出られない」「赤ちゃんもぐずっている」という日は、家の中の空気もピリッとしがちです。まず親の呼吸を少し落ち着かせるだけでも、赤ちゃんへの声かけが変わります。
育児中の頭痛ケア全般は、こちらの記事も参考にしてください。
赤ちゃんには、大人のように「今日は気圧がつらい」と言葉で説明できません。
だからこそ、台風前後にぐずりや夜泣きが増えたと感じるときは、まず環境と安心感を整えてあげるのが現実的です。
台風の日は、散歩も外遊びも難しいです。
「今日は刺激が足りないから寝ないのかも」と焦る気持ちはわかります。でも、無理に普段通りのリズムを作ろうとすると、親のほうが疲れ切ってしまいます。
台風の日は「少し崩れても仕方ない日」と考えていいと思います。
昼寝が短い。抱っこが増える。離乳食の進みが悪い。そういう日もあります。
赤ちゃんが落ち着かない日は、抱っこ、背中をなでる、手足を包むなど、安心できる刺激を増やしてみてください。
強いマッサージは必要ありません。服の上から背中をゆっくりさするだけでも十分です。
赤ちゃんにとっては、親の手の温かさや声のトーンが安心材料になります。
台風の日は湿度が上がりやすいので、室温だけでなく湿度も見てください。
暑いのか、寒いのか、蒸れているのか。赤ちゃんは言葉で言えないので、背中や首元を触って確認します。
背中がしっとりしているなら暑い可能性があります。手足だけが冷たい場合は、赤ちゃんではよくあることなので、首元やお腹の温かさを見ます。
エアコンの風が直接当たらないようにしながら、室温と湿度を整えるだけで寝やすくなることがあります。
夜泣き対策グッズを使う場合も、まずは安全な寝床と室内環境が土台です。
赤ちゃんが寝たら、その間に家事を片づけたくなります。
でも台風の日に親も頭痛やだるさがあるなら、家事より休息を優先していい日があります。
睡眠不足が重なると、気象病っぽい不調も強く感じやすくなります。
ツボ押しは、薬の代わりに無理やり我慢するためのものではありません。
「少し頭が重い」「首がこわばる」「気持ち悪さまではないけれど落ち着かない」くらいの早めの段階で、体を整える補助として使ってください。
痛みが強いとき、いつもと違う頭痛があるときは、セルフケアで様子を見すぎないことが大切です。
場所: 手首の内側にあります。手首のしわから、ひじ側へ指3本分ほど進んだところ。腕の真ん中あたりです。
押し方: 反対の親指で、ゆっくり5秒押して、5秒離します。これを5回ほど繰り返します。強く押しすぎず、じんわり気持ちいいくらいで十分です。
向いているとき: 台風前に気持ち悪さがある、胸がざわざわする、乗り物酔いのような感じがある、呼吸が浅いとき。
内関は、気持ち悪さや自律神経の乱れと関係して使われることが多いツボです。育児中でも片手で押しやすいので、抱っこの合間にも使いやすいです。
注意: 妊娠中の方、持病がある方、手首に痛みや腫れがある方は無理に押さないでください。
場所: 後頭部の髪の生え際、首の太い筋肉の外側にあるくぼみです。左右にあります。
押し方: 両手の親指を風池に当て、斜め上に向かってゆっくり押します。5秒押して離す、を5回。押しながら息を吐くと力が抜けやすいです。
向いているとき: 後頭部が重い、首肩こりがある、目の疲れがある、台風前に頭がぼんやりするとき。
風池は、頭痛ケアでもよく使うツボです。ただし、強く押せばいいわけではありません。首は大事な血管や神経が通る場所なので、気持ちいい範囲でやさしく押してください。
注意: めまいが強いとき、吐き気があるとき、首に強い痛みがあるときは無理に押さず、安静にしてください。
ツボの押し方そのものに不安がある方は、こちらの記事も参考にしてください。
気象病はつらいですが、すべてを「低気圧だから」で片づけるのは危険です。
特に頭痛は、まれに急いで対応が必要な病気が隠れていることがあります。
大人で次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。強い症状なら救急も考えてください。
赤ちゃんの場合は、次のようなときに小児科へ相談してください。
夜間や休日で迷う場合は、地域の救急相談や小児救急電話相談(#8000)を使う選択肢もあります。
「台風の日だから」「いつもの夜泣きだから」と思い込まず、いつもと違うサインは大切にしてください。
今回の記事と合わせて読むなら、次の記事が役立ちます。
台風シーズンの気象病は、気圧・湿度・自律神経・首肩こり・睡眠不足が重なって起きやすくなります。
大人は頭痛やだるさとして出やすく、赤ちゃんはぐずりや夜泣き、眠りの浅さとして見えることがあります。
もちろん、赤ちゃんの不調をすべて天気のせいにすることはできません。発熱やぐったり感など、いつもと違うサインがあれば小児科へ相談してください。
ただ、台風の日に家族みんながしんどくなる感覚は、僕自身もよくわかります。
子どもの頃から天気が崩れると頭痛があり、台風の日は家にこもってダウンしていた。今はそこに、息子の夜泣きや家族の生活リズムが重なります。
だからこそ、台風の日は気合いで乗り切るより、最初から「今日はゆるめる日」と決めるほうが楽です。
大人は耳まわし、首肩ほぐし、長く吐く呼吸を3分。赤ちゃんには無理をさせず、室内環境を整えて、スキンシップを少し増やす。
それだけでも、台風の日のしんどさを少し受け止めやすくなると思います。
天気は変えられません。でも、家の中の過ごし方と、自分の体への声かけは変えられます。
台風シーズン、親も子も無理しすぎず、家族で少しペースを落として過ごしていきましょう。
※この記事は、鍼灸師としての経験と育児中の実体験をもとにした一般的なセルフケア情報です。症状の診断や治療を目的としたものではありません。強い頭痛、嘔吐、しびれ、発熱、赤ちゃんのぐったり感などがある場合は、医療機関へ相談してください。
整骨院勤務15年・鍼灸師パパより