この記事を書いた人
はり師・きゅう師(国家資格) 整骨院勤務15年の現役鍼灸師パパ。 肩こり・腰痛・産後ケアを専門に、のべ数千名を施術。 現在は0歳の息子を育てながら、リアルな育児体験をもとに情報発信中。
この記事について: 整骨院で15年間、産後・授乳中のママさんの体を診てきた経験をもとに書いています。授乳中の肩こりは「姿勢だけの問題」ではなく、ホルモン変化による関節の影響も大きいことを知っている人はまだ少ないです。実際に診てきた方々の声と、自身のパートナーの回復を支えてきた経験から、使えるケアだけを厳選してお伝えします。
「授乳するたびに肩がガチガチになる」「授乳が終わっても肩こりが全然取れない」という声は、産後のママさんから本当によく聞きます。実はこれ、単なる疲れや姿勢の問題ではありません。産後の体のメカニズムを知ることで、正しいケアができるようになります。この記事では、整骨院15年・鍼灸師パパが授乳中の肩こりの原因と解消法をわかりやすく解説します。
授乳中は、赤ちゃんの様子を確認するために自然と下を向く姿勢になります。この「うつむき」の姿勢は、首から肩にかけての筋肉(僧帽筋・菱形筋)に大きな負担をかけます。
頭の重さは約5kg。うつむくだけで、頭を支える首・肩の筋肉が受ける負荷は2〜3倍にも増えると言われています。これを1回の授乳で15〜30分、1日に8〜12回繰り返すと、肩こりが起きるのは当然のことです。
授乳は毎回「ほぼ同じ姿勢」で行います。同一姿勢の継続は、特定の筋肉に集中して負担をかけます。
人間の体は「動き続けること」で筋肉のポンプ作用により血液が循環しますが、動かないでいると血流が滞ります。血流が悪くなると老廃物が溜まり、筋肉のこわばりと痛みにつながります。
あまり知られていませんが、これが非常に重要な原因です。
産後は「リラキシン」というホルモンが分泌されます。このホルモンは出産時に骨盤を開くために分泌されるものですが、産後も授乳中は継続して分泌されます。
リラキシンの働きで関節が緩むと、体の安定性が下がります。関節を補うように筋肉が過剰に働くため、疲れやすく、こりやすくなってしまうのです。これは意志の力でどうにかなるものではなく、体のホルモン変化による自然な現象です。
授乳中は両手が塞がっていることも多いですが、片手でできるツボケアがあります。
場所: 手の甲側、親指と人差し指の間の骨が交わるくぼみ。
「万能のツボ」とも呼ばれ、肩こりや頭痛、全身の疲労感に効きます。授乳中でも、赤ちゃんを抱えながら反対の手の親指でグッと押すことができます。
押し方: 親指でゆっくり圧を加え、3〜5秒キープして離す。5〜10回を目安に繰り返す。
詳しい押し方はこちらで解説しています。 → 肩こりツボの正しい押し方|強さ・回数・タイミングのコツ
場所: 手首の内側、横じわから指3本分ひじ側のくぼみ。
肩の緊張をほぐす効果と、精神的な疲労感を和らげる効果があります。授乳後に少し時間が取れたとき、反対の親指でゆっくり押してみてください。
肩こりに効くツボの総合解説はこちらも参考に。 → 肩こりに効くツボ3選|育児パパ・ママ向け
肩こりの根本的な予防には、授乳姿勢を改善することがいちばん効果的です。授乳クッションを正しく使うだけで、肩への負担がかなり軽減されます。
「クッションがないから前かがみになってしまう」という状態が、肩こりを悪化させます。クッションを使って「赤ちゃんが胸の高さに来るようにする」のがポイントです。
授乳姿勢の詳しい解説はこちら。 → 授乳姿勢を見直すだけで体の負担が変わる
授乳が終わったら、固まった体をほぐすストレッチを習慣にしましょう。所要時間は合計3〜5分です。
授乳中の「胸が縮まった姿勢」と逆の動きをするので、とても気持ちよくほぐれます。
肩甲骨の動きが悪くなると肩こりが慢性化しやすくなります。毎日の習慣にしてみてください。
首を横に倒すときは無理に力を入れず、重力に任せるように。ゆっくり呼吸しながら行うことで、より筋肉がほぐれます。
以下の姿勢は肩こりを悪化させる代表例です。心当たりがあれば意識して見直してみましょう。
Q1. 授乳を卒業したら肩こりは自然に治りますか?
卒乳後にリラキシンの分泌が落ち着き、関節の安定性が戻ってくると肩こりが改善するケースは多いです。ただし、授乳中に固まってしまった筋肉は自然には元に戻りません。ストレッチやツボケアを習慣にして、意識的にほぐしていくことが大切です。
Q2. 産後の肩こりが慢性化してしまっています。整骨院に行った方がいいですか?
2〜3週間以上続く肩こり、痛みで動けないほどのこりがある場合は、専門家に診てもらうことをおすすめします。産後の関節の緩みが原因で、肩甲骨や頸椎の動きが悪くなっているケースも多く、セルフケアだけでは改善しにくいことがあります。
Q3. 授乳クッションを使っても姿勢がうまくいきません。どうすればいいですか?
クッションの高さが合っていない可能性があります。バスタオルを折り畳んでクッションの上に重ねる、または椅子の高さを変えるなどで微調整してみてください。また、縦抱き授乳やフットボール抱きなど、姿勢を変えてみるのも有効です。
肩こりの3大原因:
すぐできるケア:
| ケアの種類 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| ツボ押し | 合谷・内関 | 授乳中・授乳後 |
| ストレッチ | 胸を開く・肩甲骨・首倒し | 授乳後3〜5分 |
| 姿勢改善 | 授乳クッション活用 | 毎回の授乳時 |
今日からできるアクション:
産後の体はホルモン変化もあって、ケアが必要な状態が続きます。「仕方ない」とあきらめず、少しずつ体をほぐしていきましょう。産後の体の回復についてはこちらも参考にどうぞ。 → 産後の体の回復目安と気をつけたいこと