この記事を書いた人
はり師・きゅう師(国家資格) 整骨院勤務15年の現役鍼灸師パパ。 肩こり・腰痛・産後ケアを専門に、のべ数千名を施術。 現在は0歳の息子を育てながら、リアルな育児体験をもとに情報発信中。
夏を乗り切った9月、なぜか急に体が重くなることがあります。
暑さのピークは越えたはずなのに、朝起きるのがつらい。頭が重い。食欲がわかない。寝ても疲れが取れない。肩が張る。理由もなくイライラする。
「夏バテなら8月でしょ」と思うのですが、実際にしんどいのは9月という人、けっこう多いです。整骨院でも、8月より9月のほうが「なんとなく不調」で来られる方が増えます。
これがいわゆる秋バテです。
僕自身、季節の変わり目や天気の崩れには昔から弱いタイプです。子どもの頃から、台風や低気圧が近づくと頭痛が出ます。大人になって鍼灸師になっても、これは変わりませんでした。「知識があるから平気」ということは、まったくないんですよね。
しかも育児中は、そこに寝不足と抱っこが上乗せされます。この記事では、整骨院勤務15年の鍼灸師パパの目線で、秋バテがなぜ起きるのかと、育児の合間にできるセルフケアをまとめます。
この記事でわかること:

「秋バテ」は正式な病名ではありません。夏の間にたまった疲れが、涼しくなり始めた時期に出てくる状態を、生活のなかでそう呼んでいるだけです。
よくある症状はこのあたりです。
| よくある症状 | 感じ方の例 |
|---|---|
| だるい・疲れが抜けない | 寝ても回復しない、朝からしんどい |
| 頭が重い・頭痛 | 天気が崩れる日に強くなりやすい |
| 食欲がない | 夏に冷たいものを摂りすぎた後に出やすい |
| 胃がもたれる | 食べたいのに入らない |
| 肩こり・首のこり | 夏より9月のほうが張る |
| 寝つきが悪い・眠りが浅い | 疲れているのに寝られない |
| 気分が落ちる・イライラ | 理由がないのに沈む |
| 手足の冷え | 夏の間は感じなかった冷えが出る |
「病院に行くほどではないけれど、しんどい」。この表現が一番しっくりくる状態です。
夏バテは、暑さの真っ最中に起きる不調です。汗をかきすぎて、食欲が落ちて、体力が奪われる。原因がわかりやすいので、本人も周りも「暑いからね」と納得できます。
秋バテは、原因が過去にあるのが特徴です。
夏の間に消耗したぶんが、涼しくなって気が緩んだタイミングで表に出てくる。しかも見た目には涼しくなっているので、「なんで今しんどいんだろう」と本人も理由がわからない。この理由がわからない感じが、地味にしんどいところです。

大きく3つに分けて考えると、わかりやすいです。
夏は、冷たい飲み物、アイス、そうめん、冷房。どうしても体を内側からも外側からも冷やします。
うちも、9月はまだ暑いのでエアコンをつけっぱなしにしていました。すると今度は、冷えすぎるんですよね。子どもの鼻がぐずぐずして風邪をひいたこともありましたし、大人のほうも、気づけば体の芯が冷えている感じがありました。
胃腸は冷えに弱い場所です。冷たいものが続くと消化の働きが落ち、食べても栄養が体の力になりにくくなります。この「エネルギー不足」が、涼しくなってから一気に自覚されます。
9月は、昼と夜の気温差、屋外と室内の気温差が大きくなります。
体温を一定に保つ働き(自律神経の仕事です)は、この差が大きいほど働き続けることになります。汗を出す、血管を縮める、また広げる。これを一日に何度も繰り返すと、それだけで疲れます。
しかも9月は、その差が「暑い日と涼しい日」でランダムに来ます。体が「もう秋モードでいこう」と決めた翌日に30℃、みたいなことが起きる。この不安定さが、体にはこたえます。
9月は台風シーズンです。
僕は子どもの頃から、台風や低気圧が近づくと頭痛が出ます。気圧が下がると、体の内側と外側の圧のバランスが変わり、耳の奥にある気圧を感じるセンサーが刺激されて、自律神経が乱れると考えられています。
頭痛だけでなく、だるさ、めまい、気分の落ち込み、古傷の痛みとして出る人もいます。
気象病について詳しくはこちらにまとめています。 → 台風シーズンの頭痛・だるさ、赤ちゃんのぐずりも?気象病を鍼灸師パパが解説
低気圧と頭痛の関係はこちらも参考になります。 → 低気圧で頭痛・だるさ…季節の変わり目に体調を崩さない東洋医学の知恵
そして、育児中の場合。
上の3つに加えて、細切れ睡眠があります。夜中に何度も起きる生活が続いていると、そもそも回復のための時間が足りていません。
自律神経は、睡眠中に「休むモード」に切り替わって体を整えます。その時間が削られると、切り替えがうまくいかなくなります。9月の寒暖差に対応する体力も、当然落ちます。
睡眠が細切れでもできる工夫はこちらです。 → 【睡眠不足のパパ・ママへ】量より「質」で乗り越える細切れ睡眠の乗り越え方

整骨院で秋バテっぽい方の体を触ると、共通点があります。
自律神経は、首から背中にかけての流れと関わりが深い場所を通っています。ここが固くなっている方は、頭痛やだるさを訴えることが多いです。
特に、首の後ろの生え際あたりと、肩甲骨の内側。ここが板みたいになっている方は、たいてい「よく眠れていない」とおっしゃいます。
疲れている人は、息が浅くなります。
胸だけで小さく呼吸していて、おなかが動いていない。この状態だと、体は「まだ緊張している」と判断して、休むモードに切り替わりにくくなります。
夏の冷たいものと冷房の影響で、おへその下あたりがひんやりしている方が多いです。ここが冷えていると、疲れが抜けにくく、食欲も戻りにくい印象があります。
意外に思われるかもしれませんが、疲れがたまっている方は足首も固いです。ふくらはぎがパンパンで、足首を回すとゴリゴリ音がする。血の巡りが落ちているサインのひとつです。

東洋医学のテーマは、この記事では1つだけにします。「気虚」です。
東洋医学でいう「気」は、体を動かすエネルギーのようなものです。体温を保つ、内臓を動かす、外からの刺激をはね返す、といった働きを担当していると考えます。
その気が足りなくなった状態を「気虚」といいます。
気虚のときに出やすいサイン
夏は、汗をたくさんかきます。東洋医学では、汗と一緒に気も外へ出ていくと考えます。だから夏の終わりは、多くの人が多かれ少なかれ気が減った状態になります。
そこへ育児の寝不足が重なると、気を作る余裕も、貯める余裕もありません。入ってくる量より出ていく量が多い状態が続いているわけです。
気虚のときにやってはいけないのは、「頑張って動かして治そう」とすることです。
疲れているときに激しい運動をしたり、無理に早起きしたり、サウナで一気に汗をかいたりすると、さらに気が減ります。気虚の時期は、足すより減らさないのが基本です。
生活に落とすなら、こうなります。
「気」の考え方をもっと知りたい方はこちらが読みやすいです。 → なぜ育児でこんなに疲れるの?東洋医学の「気・血・水」で読み解く
気の流れが滞るタイプ(気滞)との違いも知っておくと、自分の状態がわかりやすくなります。 → 「気が滞る」ってどういうこと?気滞の症状とセルフケア

育児中なので、道具なし・3分以内・抱っこの合間にできるものにしぼります。
蒸しタオルでも、お風呂のシャワーでも、ホットアイマスクでもいいです。
首の後ろの生え際あたりを温めると、体が休むモードに切り替わりやすくなります。夜、寝る前が一番おすすめです。
熱すぎるものを長時間当てるのは避けてください。「気持ちいい」で止めます。
温めのタイミングについてはこちらが詳しいです。 → 東洋医学的に正しいホットアイマスクの使い方と時間帯
呼吸を整えるだけで、自律神経の切り替えは変わります。
ポイントは、吐くほうを長くすることです。吐く息が長いと、体は休むモードに入りやすくなります。
抱っこしながらでもできます。おなかがふくらむ感じがあれば、うまくできています。
座って、片足を反対の膝に乗せます。足の指の間に手の指を入れて、ゆっくり10回ずつ回す。左右やります。
足首が動くようになると、ふくらはぎのポンプが働いて、下半身にたまった血が戻りやすくなります。夕方のだるさに効きます。
寝る前、おへその下あたりに手のひらを当てて、そのまま呼吸します。
こするわけでも押すわけでもありません。ただ当てるだけです。手の温度でおなかが温まると、それだけで少し落ち着きます。
「そんなので変わるの」と思われそうですが、冷えているおなかに手を当てて温かさを感じると、体は安心します。育児中に一番手軽なケアです。
これはケアというより生活の調整です。
9月はまだ暑いので、氷入りの飲み物がおいしいです。ただ、胃腸が疲れているときに冷たいものを入れ続けると、回復が遅れます。
全部やめる必要はありません。**「1日のうち1杯を常温か白湯に替える」**くらいから始めると続きます。
冷えの対策全般はこちらにまとめています。 → 育児中に悪化する「冷え性」の原因と体質別の温め方

秋バテに使いやすいツボを1つ紹介します。
ツボの名前:足三里(あしさんり)
場所:膝のお皿の下、外側のくぼみから指4本ぶん下がったところ。すねの骨の外側、少しくぼんでいる場所です。押すと軽く響く感じがあります。
押し方:親指の腹で、3〜5秒かけてゆっくり押して、ゆっくりはなす。これを左右5回ずつ。強くグリグリする必要はありません。
どんな時に向くか:胃腸の調子がすっきりしない、疲れが抜けない、足が重い、体力が落ちている感じがするとき。昔から「体力をつけたいときのツボ」としてよく使われてきた場所です。
注意点:食後すぐは避けます。皮膚に傷や炎症があるとき、強い痛みがあるときは押さないでください。押して気分が悪くなったらすぐやめます。妊娠中の方は自己判断で強く刺激せず、かかりつけに相談してください。
ツボ押しの基本ルールはこちらです。 → ツボ押しの正しいやり方と押してはいけない場所

よかれと思ってやったことが、かえって消耗を増やすことがあります。
| やりがちなこと | なぜ逆効果になりやすいか |
|---|---|
| 疲れているから運動する | 気虚の状態では、さらに消耗することがある |
| 栄養ドリンクでしのぐ | 一時的に動けても、あとで反動が来やすい |
| 夜更かしして自分の時間を取る | 気持ちはわかるが、回復時間を削ることになる |
| 暑いから冷たいものをたくさん | 胃腸が冷えて食欲がさらに落ちる |
| 気合いで乗り切ろうとする | 秋バテは根性でどうにかなるタイプの疲れではない |
特に「自分の時間がほしくて夜更かし」は、育児中のあるあるです。気持ちは本当によくわかります。
ただ、9月に関しては、30分早く寝るほうが翌日の自分を助けます。夜更かししたい日と、早く寝る日を分けるくらいの折衷案がおすすめです。
パパ向けのリフレッシュ習慣はこちらにまとめています。 → 育児疲れのパパへ!週末10分でできるリフレッシュ習慣

秋バテという言葉は便利ですが、なんでも秋バテで片づけないことが大事です。
次のようなときは、季節のせいにせず医療機関に相談してください。
産後間もない方は、ホルモンの変化や貧血が関わっていることもあります。だるさが強いときは産婦人科や内科で一度みてもらうと安心です。気持ちの落ち込みが続く場合は、心療内科や自治体の相談窓口も選択肢になります。
産後の疲れが抜けないときは、こちらも参考にしてみてください。 → 産後ママの「なぜか疲れが取れない」は気血不足かもしれない

台風や低気圧で調子が崩れるとき → 台風シーズンの頭痛・だるさ、赤ちゃんのぐずりも?気象病を解説
気圧と頭痛の関係を知りたいとき → 低気圧で頭痛・だるさ…体調を崩さない東洋医学の知恵
疲れの正体を東洋医学で知りたいとき → なぜ育児でこんなに疲れるの?「気・血・水」で読み解く
眠りが足りないとき → 【睡眠不足のパパ・ママへ】量より「質」で乗り越える
頭痛がつらいとき → 育児中の頭痛を薬なしで改善!タイプ別セルフケア3選
冷えが気になるとき → 育児中に悪化する「冷え性」の原因と体質別の温め方

9月にだるいのは、サボっているからでも、気合いが足りないからでもありません。
夏に消耗したぶんが、涼しくなって出てきているだけです。しかも育児中は、そもそも回復に必要な睡眠が削られています。しんどくて当然なんです。
やることは、たぶんこれだけで足ります。
| ポイント | やること |
|---|---|
| 冷やさない | 1日1杯を常温か白湯に替える |
| 呼吸 | 吐く息を長くする(4秒吸って8秒吐く) |
| 温める | 寝る前に首の後ろをあたためる |
| 巡らせる | 足首を10回まわす |
| 減らさない | 頑張って運動しない、夜更かしを減らす |
僕自身、天気が崩れる時期は今でも頭痛が出ます。知識があっても、体は正直です。だから「今日はしんどい日」と認めて、やることを減らす日を作るようにしています。
9月は、体が季節を乗り換えている最中です。うまく乗り換えられるまで、少しだけ荷物を軽くしてあげてください。
今日は、冷たい飲み物を1杯だけ白湯に替える。それくらいから始めれば大丈夫です。
※ 本記事は一般的な健康情報であり、医療行為や医師の診断の代替ではありません。強い痛み、しびれ、発熱、2週間以上続く強い倦怠感、気分の落ち込みなど気になる症状がある場合は、内科・産婦人科・心療内科などの医療機関にご相談ください。
整骨院勤務15年・鍼灸師パパより