この記事を書いた人
はり師・きゅう師(国家資格) 整骨院勤務15年の現役鍼灸師パパ。 肩こり・腰痛・産後ケアを専門に、のべ数千名を施術。 現在は0歳の息子を育てながら、リアルな育児体験をもとに情報発信中。
※ この記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。
9月1日は防災の日です。
とはいえ、赤ちゃんがいる家で「よし、防災やるぞ」となる日は、なかなか来ません。授乳して、おむつを替えて、寝かしつけて、気づいたら夜。防災リュックのことを思い出すのは、たいていニュースで台風や地震の速報が流れたときです。
僕もそうでした。「そのうちやろう」と思ったまま、季節がふたつくらい過ぎていました。
ただ、赤ちゃんがいる家の防災は、大人だけの家とは少し中身が変わります。ミルク、おむつ、着替え、体温調整。どれも「後でコンビニで買えばいい」が通用しにくいものばかりです。
しかも9月は台風シーズンでもあります。僕は子どもの頃から、台風や低気圧が近づくと頭痛が出るタイプで、天気が崩れる日は自分の体調もあやしくなります。親がしんどい状態で避難の準備を始めるのは、かなりきついです。
だからこの記事では、整骨院勤務15年の鍼灸師パパの目線で、赤ちゃんがいる家庭の防災グッズと備えを整理します。防災の専門家ではないので、避難の判断そのものは自治体の情報に従ってください。ここでは「赤ちゃんの体」と「抱えて運ぶ親の体」という、僕が普段見ている部分から書きます。
この記事でわかること:

大人だけなら、極端な話、水と食料と少しの現金があれば数日はしのげます。
でも赤ちゃんは、そうはいきません。
このうち、意外と見落とされがちなのが**「必ず誰かが抱える」**というところです。
災害時は、荷物を持ちながら赤ちゃんを抱えることになります。ベビーカーは段差やがれき、水たまりで使えないことがあります。つまり、抱っこひも+リュックという体勢が現実的です。
整骨院で腰や肩を痛めた方を見てきましたが、**「重いものを持って、不安定な場所を、急いで移動する」**のは、体にとってかなり負担の大きい条件がそろっています。防災グッズを詰め込みすぎて、いざというときに背負えないリュックになってしまうと本末転倒です。
だから赤ちゃんがいる家の防災は、「何を入れるか」と同じくらい「親が実際に背負って動けるか」を考えます。

最初から完璧を目指すと、たいてい途中で止まります。まずはこの表くらいから始めるのが現実的です。
| 分類 | 具体例 | 優先度 |
|---|---|---|
| 授乳・ミルク | 液体ミルク、使い捨て哺乳ボトル、紙コップ | 高 |
| おむつまわり | おむつ、おしりふき、防臭袋、レジ袋 | 高 |
| 体温調整 | 薄手の羽織り、おくるみ、スリーパー、タオル | 高 |
| 衛生 | 手指消毒、ウェットティッシュ、清浄綿 | 高 |
| 移動 | 抱っこひも(普段使いとは別に1本あると安心) | 中〜高 |
| 記録 | 母子健康手帳のコピー、保険証のコピー、写真 | 高 |
| 体調ケア | 体温計、常備薬、鼻吸い器 | 中 |
| 気を紛らわす | お気に入りのおもちゃ、絵本、音の出ないもの | 中 |
| 親のもの | 生理用品、簡易トイレ、モバイルバッテリー | 中〜高 |
季節ごとの育児グッズを広く見直したい方は、こちらもどうぞ。 → 梅雨・夏・冬の季節別 育児セルフケアグッズおすすめ

赤ちゃんの防災でよく話題になるのが、液体ミルクです。
液体ミルクは、お湯がいらず、そのまま飲ませられます。停電や断水でお湯が作れない状況では、本当に助かる存在です。国内でも紙パックや缶タイプが販売されていて、スーパーやドラッグストアでも手に入るようになりました。
ただ、備えるときに知っておきたいことがいくつかあります。
粉ミルクに比べると、液体ミルクは賞味期限が短めのことが多いです。買って押し入れに入れっぱなしにすると、いざというときに期限切れ、ということが起こります。
おすすめは、ローリングストックという考え方です。少し多めに買っておいて、普段のお出かけや夜中の授乳で使い、使った分だけ買い足す。これなら期限切れになりにくく、「使い方に慣れておく」という効果もあります。
これが意外と大事です。
赤ちゃんは、味や温度の変化に敏感なことがあります。普段まったく飲んだことのない液体ミルクを、災害でバタバタしている状況で初めて出しても、飲んでくれないことがあります。
一度、落ち着いているときに試しておくと安心です。「うちの子は飲む/飲まない」がわかっているだけで、備える量も変わります。
紙パックの液体ミルクは、そのままでは飲ませられません。専用のアタッチメントや、使い捨ての哺乳ボトル、消毒不要の紙コップなどが必要です。
断水すると哺乳びんが洗えません。**「洗わずに使える」**という視点で道具をそろえておくと、現実的です。
「うちは完全母乳だから液体ミルクはいらない」と思う方もいると思います。
ただ、災害時は状況が変わります。強いストレス、睡眠不足、水分不足で、母乳の出方が普段と違ってくることもあります。ママ自身が体調を崩したり、赤ちゃんと離れる時間ができたりする可能性もゼロではありません。
「使わなければローリングストックで飲ませればいい」くらいの気持ちで、少しだけ備えておくと、選択肢が増えます。逆に、災害時に母乳が続けられる状況なら、それが一番手間がかかりません。どちらが正しいという話ではなく、両方の道を残しておくのが備えです。

赤ちゃんの月齢によって、必要なものはけっこう変わります。
| 月齢 | 特に必要なもの |
|---|---|
| 0〜5ヶ月ごろ | 液体ミルク、哺乳道具、おむつ多め、おくるみ、抱っこひも |
| 6〜11ヶ月ごろ | 上記+ベビーフード、スプーン、マグ、歯がためやおもちゃ |
| 1歳以降 | 水や軽食、着替え多め、靴、お気に入りの一品 |
うちは今10ヶ月ごろなので、離乳食のことも考えないといけない時期です。おかゆやベビーフードのパウチは、常温でそのまま食べられるものを選んでおくと、停電時でも困りにくいです。
リュックがパンパンになるほど詰めると、抱っこひもと合わせて背負ったときに、体が前後にひっぱられます。この状態で階段を下りたり、暗い道を歩いたりするのは危ないです。
一度、赤ちゃんを抱っこひもに入れて、リュックを背負って、家の中を2〜3分歩いてみてください。それだけで「これは重すぎる」「肩ひもが食い込む」といったことがわかります。
抱っこひもの装着がゆるいと、荷物を背負ったときに腰への負担が一気に増えます。装着の見直しはこちらにまとめています。 → 抱っこひもで腰・肩を痛めない正しい装着方法
腰がもともとつらい方は、腰ベルトの使い方もあわせて確認しておくと安心です。 → 抱っこで腰が限界…腰ベルトの選び方と正しい使い方

避難生活そのものは僕の専門ではありません。ただ、体のことでいうと、心配な点はだいたい想像がつきます。
赤ちゃんは、暑さにも寒さにも弱いです。
9月はまだ日中が暑く、体育館などに避難すると熱がこもります。一方で、夜は冷えます。エアコンが止まっている可能性もあります。だから薄手の羽織りやおくるみを1枚入れておくのが現実的です。「厚い一枚」より「薄い一枚を足し引き」のほうが使い勝手がいいです。
秋口の服装・寝具の考え方は、こちらでまとめています。 → まだ暑いのに朝晩は涼しい…残暑9月の赤ちゃんの体調ケア
赤ちゃんは体に占める水分の割合が大人より多く、脱水になりやすいです。暑い場所、泣き続けたあと、下痢や嘔吐があるときは特に注意します。
見るポイントや受診の目安はこちらにまとめています。 → 赤ちゃんの脱水・熱中症サイン|夏に親が見るべきポイントと予防
これは実体験からです。
うちの子は生後3ヶ月のころ、エアコンの冷えで鼻水が出て、夜まったく寝られなくなったことがありました。そのときに電動鼻吸い器の「しゅぽっと」で吸ってあげたら、それだけでスッと眠れた。あの夜のことは今でも覚えています(後にハウスダストのアレルギーもあることがわかりました)。
災害時は、ほこりが舞う、空気が乾く、慣れない場所で寝る、という条件が重なります。鼻が詰まると赤ちゃんは飲めない・眠れないになるので、地味ですが影響が大きいです。
電動の鼻吸い器は停電中は使えないので、手動タイプや口で吸うタイプを1つ避難用に入れておくと現実的です。
鼻ケアの詳しい考え方はこちらです。 → 赤ちゃんの鼻づまりケア|冷房・夏風邪のグズグズ鼻に鍼灸師パパができること
道具の選び方はこちらで比較しています。 → 赤ちゃんの鼻詰まりケア用品まとめ

ここで、東洋医学の話を1つだけ。
東洋医学には「気(き)」という考え方があります。ざっくり言えば、体を動かしたり、体温を保ったり、外からの刺激をはね返したりするエネルギーのことです。
災害や避難のような状況では、この気がものすごい勢いで減ります。
これ、育児中の生活とかなり似ています。もともと消耗している状態に、さらに緊張が上乗せされる形です。
気が減ると、体は「守る」より「持ちこたえる」ほうにエネルギーを回します。すると、疲れが抜けない、風邪をひきやすい、頭が回らない、イライラする、といった状態になりやすいです。
だから災害の備えには、親の気を減らさない工夫も入れておきたいところです。
「気」の考え方をもう少し知りたい方はこちらが読みやすいです。 → なぜ育児でこんなに疲れるの?東洋医学の「気・血・水」で読み解く

グッズをそろえる前に、一度だけ想像しておくと備えの精度が上がります。
| 起きること | 赤ちゃん育児で困ること | 対策の例 |
|---|---|---|
| 停電 | ミルクのお湯が作れない、電動鼻吸い器が使えない、暗くて危ない | 液体ミルク、手動鼻吸い器、ヘッドライト |
| 断水 | 哺乳びんが洗えない、おしりが洗えない | 使い捨てボトル、おしりふき多め、清浄綿 |
| ガス停止 | 沐浴・入浴ができない | ドライシャンプー、体ふきシート |
| 通信混雑 | 連絡がつかない | 集合場所を事前に決めておく |
| 猛暑・残暑 | 熱がこもる、脱水 | うちわ、冷却シート、水分 |
| 夜の冷え | 寝冷え、体調を崩す | 薄手の羽織り、おくるみ、アルミブランケット |
特に**「暗さ」**は見落としがちです。夜中に停電すると、おむつ替えも授乳もできません。スマホのライトを使うと電池が減ります。ヘッドライトが1つあるだけで、両手が空くのでかなり違います。

全部を一度にやろうとすると、たぶん終わりません。5分でできることから始めるのが続くコツです。
1日目:液体ミルクを1〜2本買う スーパーでもドラッグストアでも買えます。まず1本、次の外出で使ってみる。
2日目:母子手帳と保険証をスマホで撮る これは本当に5分もかかりません。撮ってアルバムにまとめるだけ。
3日目:おむつを普段より1パック多く置く 特別な備蓄ではなく、「常に少し多め」にするだけ。
4日目:リュックに入れる場所を決める 中身より先に「置き場所」を決めると、あとが早いです。玄関に近い場所が基本です。
5日目:抱っこひも+リュックで家の中を歩く 重さの確認です。ここで「重すぎ」に気づけたら大成功。
6日目:避難場所を家族で確認する 自治体のハザードマップを一緒に見ておきます。
7日目:足りないものをメモする 実際に動いてみて気づいたものだけ買い足せば、無駄が出ません。
完璧な防災リュックを作るより、**「1週間で7個だけ進める」**ほうが現実的です。

最後に、大事なことを3つ。
① 避難の判断は自治体の情報に従う このブログは体のケアが専門です。いつ避難するか、どこに行くかは、住んでいる自治体の防災情報・気象庁の発表・ハザードマップを必ず確認してください。
② 赤ちゃんの体調が心配なときは医療に相談する 災害時でも、次のようなときは我慢しないでください。
判断に迷うときは、小児救急電話相談 #8000 が使えます。緊急時は 119。災害時は回線が混み合うこともあるので、地域の小児科の連絡先を紙にも控えておくと安心です。
発熱時の見方はこちらにまとめています。 → 赤ちゃんが発熱…親がまずすること|見守りと受診の目安
③ 親が倒れたら、赤ちゃんも守れない これは整骨院で15年働いてきて、一番強く思うことです。
腰を痛めた状態では、赤ちゃんを抱えて逃げられません。寝不足で判断力が落ちていると、危険の察知も遅れます。防災グッズをそろえるのと同じくらい、普段から自分の体を消耗させすぎないことが、実は最大の備えだと思っています。

9月の服装・体温調整に迷ったら → まだ暑いのに朝晩は涼しい…残暑9月の赤ちゃんの体調ケア
台風で体調が崩れるとき → 台風シーズンの頭痛・だるさ、赤ちゃんのぐずりも?気象病を解説
鼻づまりのケアを知りたいとき → 赤ちゃんの鼻づまりケア|冷房・夏風邪のグズグズ鼻に
鼻吸い器や加湿器を選びたいとき → 赤ちゃんの鼻詰まりケア用品まとめ
脱水が心配なとき → 赤ちゃんの脱水・熱中症サイン|親が見るべきポイントと予防
抱っこひもの負担を減らしたいとき → 抱っこひもで腰・肩を痛めない正しい装着方法

赤ちゃんがいる家の防災を考えると、正直、キリがありません。
でも、そろえるものを全部そろえるより、次の3つがそろっているかのほうが大事だと思っています。
| 押さえたいこと | 中身 |
|---|---|
| 食べられる | 液体ミルク+洗わずに使える道具 |
| 動ける | 抱っこひも+背負える重さのリュック |
| 迷わない | 母子手帳のコピー、避難場所、連絡方法 |
9月1日の防災の日は、あくまできっかけです。その日に全部やらなくても大丈夫です。
液体ミルクを1本買う。母子手帳を写真に撮る。リュックを背負って歩いてみる。今日はそのうちの1つだけでいいと思います。
そして、赤ちゃんを抱えて逃げるのは、他でもない自分の体です。腰と肩を大事にしてください。備えの中に、自分の体のことも入れておいてほしいなと思います。
※ 本記事は一般的な育児・生活情報であり、医療行為や医師の診断、および防災の公的指針の代替ではありません。避難に関する判断は自治体・気象庁などの公式情報に従ってください。赤ちゃんの体調で気になる症状がある場合は、小児科・小児救急電話相談(#8000)・救急(119)にご相談ください。
整骨院勤務15年・鍼灸師パパより