この記事を書いた人
はり師・きゅう師(国家資格) 整骨院勤務15年の現役鍼灸師パパ。 肩こり・腰痛・産後ケアを専門に、のべ数千名を施術。 現在は0歳の息子を育てながら、リアルな育児体験をもとに情報発信中。
「涼しくなったんだから、そろそろよく寝てくれるはず」
夏の暑さで寝苦しかったぶん、9月に入るとそう期待します。ところが実際は、夜中に起きる回数が減らない。むしろ増えている気さえする。
「なんで?涼しいのに?」となりますよね。
僕も、天気が崩れる夜は息子の夜泣きが多いなと感じていました。気圧が下がる日、雨の前の夜。はっきり因果関係を証明できるわけではありませんが、「今日はぐずるかもな」と身構える日が実際にあります。
そして秋は、その天気の変化が特に多い季節でもあります。
この記事では、整骨院勤務15年の鍼灸師パパの目線で、秋に夜泣きが増えることがある理由と、家でできることをまとめます。
この記事でわかること:
まず、これは決してめずらしいことではありません。
夏は暑さで寝苦しいので「夜泣き=暑いから」と考えやすいのですが、実際には涼しくなってから睡眠が乱れる赤ちゃんもいます。
秋に夜泣きが増える背景として、こんなことが同時に起きています。
| 秋に起きること | 睡眠への影響 |
|---|---|
| 日が短くなる | 体内時計のリズムがずれやすい |
| 昼夜の気温差が大きい | 明け方の冷えで目が覚める |
| 気圧の変動が多い | 台風・秋雨前線で自律神経が揺れる |
| 夏の疲れが残っている | 回復しきっていない状態 |
| 発達が進む時期 | 寝返り・つかまり立ち・後追いなど |
つまり、原因はひとつではありません。だから「これをやれば解決」という答えも、正直ありません。
ただ、どれが効いていそうかの見当をつけると、打つ手は絞れます。
秋分を過ぎると、日の入りが目に見えて早くなります。
人には体内時計があります。だいたい24時間より少し長い周期で動いていて、朝の光を浴びることで毎日リセットされている、と考えられています。
赤ちゃんは、この体内時計がまだ完成していません。生後3〜4ヶ月ごろから昼夜の区別がついてくると言われますが、その後もしばらくは不安定です。
秋になると、こういうことが起きます。
特に夕方の日暮れが早いことは、地味に影響します。5時に暗くなると、大人も夜の感覚になります。夕寝がずるずる長引いて、結果的に夜の寝つきが遅れる。それで夜中に起きる、というパターンです。
やること: 朝はカーテンを開けて、部屋を明るくする。暗くても構いません。「起きる時間には部屋が明るい」という状態を毎日作ることが大事です。
そして夕方、暗くなってきてもすぐに寝室モードにしないこと。リビングは明るくして、活動時間を保つ。逆に、寝る1時間前からは照明を落とします。
秋の夜泣きで、たぶん一番見落とされているのがこれです。
9月から10月にかけて、寝る前と明け方の室温差が大きくなります。寝かせるときは暑いくらいなのに、午前3〜5時ごろにはかなり下がっている。
赤ちゃんは寝入りばなに汗をかきます。うちの子も、生後7ヶ月の夏は尋常じゃない量の寝汗をかいていました。あの汗が、部屋が冷えてきたときに体を冷やします。
「濡れた肌着+下がった室温」。これが明け方に起きる原因として、かなり多いと思っています。
しかも、掛け布団をかけても蹴られます。だから対策は布団ではなく、着るもので守るほうが現実的です。
やること:
秋の服装・寝具の切り替えはこちらに詳しくまとめています。 → 秋の服装・寝具の切り替え時期|赤ちゃんのスリーパーの選び方
寝汗が多い子はこちらも参考になります。 → 赤ちゃんの寝汗がすごい…夏の夜泣きと汗の関係
秋は、台風と秋雨前線の季節です。
気圧が下がると体調を崩す人がいます。僕自身、子どもの頃から台風や低気圧が近づくと頭痛が出るタイプです。大人でこれだけ影響を受けるのだから、赤ちゃんが何も感じていないとは思えません。
実際、天気が崩れる夜は息子の夜泣きが多いと感じています。もちろん「たまたま重なっただけ」の可能性もあるので、断定はできません。ただ、そう感じている親御さんは本当に多いです。
気圧の変化は、耳の奥にあるセンサーを通じて自律神経に影響すると考えられています。自律神経は、眠りの深さや切り替えにも関わっています。
やること: これは「防ぐ」より「予測して備える」ほうが現実的です。
天気予報で気圧が下がりそうな日は、
「今日はぐずるかも」と思っているだけで、実際に起きたときの消耗がだいぶ違います。
気象病について詳しくはこちらです。 → 台風シーズンの頭痛・だるさ、赤ちゃんのぐずりも?気象病を鍼灸師パパが解説
低気圧と体調の関係はこちらも読みやすいです。 → 低気圧で頭痛・だるさ…体調を崩さない東洋医学の知恵
9月は、大人でも「秋バテ」が出る時期です。夏に消耗したぶんが、涼しくなってから出てくる。
赤ちゃんも同じで、暑さのなかで体温調整をし続けた疲れが、すぐには抜けません。食欲が落ちていたり、なんとなく元気がなかったりすることもあります。
体力が落ちている状態では、ちょっとした環境の変化でも眠りが乱れやすくなります。
親のほうの秋バテについてはこちらにまとめました。 → 夏の疲れが9月に出る「秋バテ」|パパ・ママの自律神経ケア
これは季節と関係ありませんが、見落とせない要因です。
赤ちゃんは、新しいことができるようになる時期に、眠りが乱れることがあります。
日中に体と脳がフル回転していると、その処理が夜まで続くのか、寝ながら手足を動かしたり、急に泣いたりすることがあります。
つかまり立ちを始めたころ、寝ながら立とうとしているような動きをする子もいます。これは一時的なことが多いので、あまり心配しすぎなくて大丈夫です。
後追いが夜泣きに影響することもあります。 → 赤ちゃんの「後追い」はいつまで続く?上手な対処法
原因が複数あるので、全部を一度に潰そうとすると疲れます。順番に見ていくのがおすすめです。
一番手をつけやすく、効果が出やすいのがここです。
| 見るところ | 目安・考え方 |
|---|---|
| 室温 | 明け方の下がり方を確認(寝る前だけ見ない) |
| 湿度 | 50〜60%前後。秋は乾き始めます |
| 光 | 寝る1時間前から照明を落とす |
| 音 | 生活音が響いていないか |
| 寝具 | 汗を吸うか、蹴っても冷えないか |
睡眠環境の整え方はこちらにまとめています。 → 赤ちゃんの夜泣きが減った!睡眠環境を整える3つのポイント
朝起きる時間、昼寝の時間と長さ、夕方の過ごし方、寝る時間。
このなかで、秋に一番ずれやすいのが夕寝です。日が短くなると、夕方に寝てしまいやすい。ここが長引くと、夜の寝つきが後ろにずれます。
「夕方に寝かせない」のが正解というわけではありません。ただ、夕寝が1時間を超えているなら、そこを見直す価値があるとは思います。
汗、おなかの冷え、鼻づまり、便の様子、歯ぐきの腫れ。
うちの子は生後3ヶ月のころ、エアコンの冷えで鼻水が出て、まったく眠れなくなったことがありました。電動鼻吸い器の「しゅぽっと」で吸ってあげたら、それだけでスッと眠れた。原因が鼻だったんだ、とあとから分かった夜です(後にハウスダストのアレルギーもあることが分かりました)。
**鼻が詰まっていると、赤ちゃんは眠れません。**これは環境やリズムをどれだけ整えても解決しないので、先に確認する価値があります。
鼻づまりのケアはこちらです。 → 赤ちゃんの鼻づまりケア|冷房・夏風邪のグズグズ鼻に鍼灸師パパができること
東洋医学のテーマは、この記事では1つだけにします。「肺」です。
東洋医学では、季節と体の働きを結びつけて考えます。そのなかで、秋は「肺」の季節とされています。
東洋医学でいう肺は、呼吸をする肺だけを指すわけではありません。もう少し広く、
このあたりをまとめて担当していると考えます。
そして肺は、乾燥を嫌うとされています。
秋になると空気が乾き始めます。すると鼻やのど、皮膚に影響が出やすい。鼻がぐずぐずする、咳っぽくなる、肌がかさつく。これらは東洋医学的には「秋に肺が影響を受けている状態」と見ます。
赤ちゃんの場合、この鼻とのどの不快感が、そのまま眠りに響きます。
生活に落とすなら、やることはシンプルです。
「肺を守る」というと難しく聞こえますが、家庭では乾かさない・冷やさない・風を当てない。これで十分です。
東洋医学から見た夜泣きの背景はこちらが詳しいです。 → 夜泣きの本当の原因は「心(しん)」の乱れ?東洋医学で読み解く赤ちゃんの睡眠と感情
一番地味ですが、体内時計への効果は大きいです。曇りでも構いません。「朝は明るい」を毎日体験させることが大事です。
夕方に寝てしまったら、1時間くらいで一度起こしてみる。完全に起こさなくても、部屋を明るくして音のある環境にするだけで、深く眠り続けにくくなります。
天井の照明を消して、間接照明かオレンジ系の光にする。テレビやスマホの画面も、できれば赤ちゃんの視界から外します。
「暗くなったら寝る時間」というサインを、毎日同じ流れで作るのがポイントです。
スリーパーか腹巻き。厚さより、蹴られても外れないことが大事です。
抱っこ、背中をゆっくりさする、静かに話しかける。時間は3分でいいので、毎日同じ流れにします。
背中をさするときは、上から下へ、ゆっくり。手のひら全体で、軽い圧で。強くさする必要はありません。手の温かさが伝わるくらいでちょうどいいです。
これは「これをやれば寝る」というものではなく、「これをやったら寝る時間」と体が覚えるためのものです。効果が出るまでに数週間かかることもあります。
夜泣きに使えるツボはこちらにまとめています。 → 夜泣きに効くツボ3選|時間帯別の使い方まで解説
夜泣き対応の記事なので赤ちゃんの話が中心になりましたが、実際に一番きついのは親です。
秋は親も自律神経が揺れる時期です。そこへ細切れ睡眠が続くと、体はかなり削られます。
僕が現場で伝えているのは、この3つです。
① 交代できるなら交代する 「自分がやらないと」と抱え込むと、確実に潰れます。夫婦で夜を分ける、休日の朝だけ交代する。形は何でもいいので、連続して眠れる時間を交代で作るのが一番効きます。
② 仮眠は20分 夜中に起きた翌日は、20分程度の仮眠が効きます。長く寝ると起きたときにだるくなるので、短く。
仮眠の取り方はこちらで詳しく書いています。 → 夜泣き対応で睡眠不足のパパへ。仮眠の正しい取り方と疲労回復ツボ
③ 「今日は無理」の日を作る 毎日ちゃんとやろうとすると続きません。家事を減らす、外注する、レトルトにする。手を抜く日を先に決めておくほうが、結果的に長くもちます。
うちも、産後2ヶ月ごろに妻がかなり疲弊していた時期がありました。物忘れが増えたり、頭が回らなかったり。いわゆるマミーブレインと呼ばれる状態です。そのときはネットスーパーなどで家事を外注して、なんとか乗り切りました。
**外注は、負けではありません。**体力を残すための手段です。
家事の外注についてはこちらにまとめています。 → 産後ママの疲れを減らすためにパパができること|宅配食・家事時短サービス
夜泣きの多くは、時期が来れば落ち着きます。ただ、「夜泣きだと思っていたら別の原因だった」ということもあります。
次のようなときは、様子見ではなく小児科に相談してください。
夜間や休日で判断に迷うときは、小児救急電話相談 #8000 が使えます。緊急時は 119 です。
そして、親が限界のときも相談していい理由になります。眠れない日が続いて、涙が出る、感情がコントロールできない、赤ちゃんに強い気持ちが向いてしまいそう。そんなときは、自治体の子育て相談窓口や保健センター、産婦人科に連絡してください。誰かに言うだけで軽くなることがあります。
産後の心のサインについてはこちらも参考になります。 → 産後うつのサインを見逃さないで|パパができるサポート
夜泣きのタイプを見分けたいとき → 【月齢別】子どもの夜泣きを3タイプで見分ける方法
夜泣きの背景を東洋医学で知りたいとき → 夜泣きの本当の原因は「心(しん)」の乱れ?
梅雨の夜泣きとの共通点を知りたいとき → 梅雨時期に赤ちゃんの夜泣きが増える理由と東洋医学的な対策
いつまで続くのか知りたいとき → 赤ちゃんの夜泣き いつまで続く?月齢別の原因と対処法
ツボを使ってみたいとき → 夜泣きに効くツボ3選|時間帯別の使い方まで解説
秋の服装・寝具を整えたいとき → 秋の服装・寝具の切り替え時期|赤ちゃんのスリーパーの選び方
涼しくなれば寝てくれる、というのは、残念ながらいつもそうとは限りません。
秋は、日照時間・気温差・気圧が同時に動く季節です。そこへ夏の疲れと発達の進みが重なります。赤ちゃんの体からすると、けっこう忙しい時期なんだと思います。
やることは、この順番でいいと思います。
| 見る順番 | やること |
|---|---|
| 1. 環境 | 明け方の室温を知る。湿度を保つ。照明を落とす |
| 2. リズム | 朝は明るく、夕寝は長引かせない |
| 3. 体 | 鼻づまり、汗、おなかの冷えを確認 |
| 4. 親 | 交代して眠る。手を抜く日を作る |
僕自身、天気が崩れる夜は「今日は起きるかもな」と思って寝るようにしています。予想が当たっても外れても、身構えていたぶんだけ気持ちがラクです。
夜泣きは、いつか必ず終わります。今まさに真っ最中だと、その言葉はまったく響かないと思うのですが、本当にそうです。
今日は、寝室に温湿度計を置いてみる。それだけで十分だと思います。
※ 本記事は一般的な育児情報であり、医療行為や医師の診断の代替ではありません。発熱、いつもと違う泣き方、水分がとれない、呼吸が苦しそうなど気になる症状がある場合は、小児科・小児救急電話相談(#8000)・救急(119)などにご相談ください。
整骨院勤務15年・鍼灸師パパより